何冊か朝鮮半島関連の本を買ったうちの一冊。タイトルからすると日帝時代に朝鮮半島で半島の人々を圧制してきた日本総督府の人が書いた左翼本かと思えますが、中身はまったく違います。
著者の松尾さんが土木工事の現場責任者として、渡朝した日本人や現地の韓国人、また中国人と一緒に治水工事や橋の製作、鉄道工事などをいかにして行ってきたかが、淡々と書かれています。戦後随分たってから記憶に頼って書かれている事もあり、どこまで事実なのか、どこまでが美化されているかなどがわからないのですが、とても分かりやすく書かれているため、当時の雰囲気が良く分かります。
この松尾さんは周囲の人にも恵まれていたのか、大変ななかにも朗らかさというか現地の半島の人々と共生していた様子がみてとれます。著者の奥さんは「あの頃が大変だけど楽しかった、また戻りたい」と言っているそうです。読んでいて、微笑ましさすら感じました。
著者は終戦間近に安州(今の北朝鮮)の大治水事業に従事します。この大治水事業は3割がた完成したところで終戦により頓挫してしまいます。著者の松尾さんは「この治水工事が完成していれば、今の北朝鮮の食糧難は回避できたかもしれない」と今でも悔やんでいらっしゃいます。
この終戦後、現地の朝鮮人は勝戦国を名乗り、著者を含め半島に居た日本人に今までのうさを晴らすかのように搾取や圧制を始めます。酔ったロシア兵に日本人の女性をあてがおうと手引きする朝鮮人、日本に引き上げようとする著者のグループから何度も金を巻き上げる朝鮮人自警団。著者が日本に引き上げてくるまで(正確には38度線を越えるまで)の朝鮮人からうけた仕打ちも、感情的になることなく淡々と書かれています。
前掲の様に戦後随分たってから書かれており事実確認は難しい事などはありますが、左や右といった思想信条は置いておいて、半島においてこういう事があったという事を知る良い資料となるのではないでしょうか。お勧めの一冊です。
| 私が朝鮮半島でしたこと1928年‐1946年 | |
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